源氏物语.千年之谜-第10章

亦又太心:さあ薬湯をあかり　ありがとう 取れぬ なぜ取れぬ この芥子の匂い　取れぬ　取れぬのじゃ 苦しいか？わらわはもっと苦しんだのだ もっともっと 苦しみ抜いたのだ 起きよ　まだまだそなたには苦しみが足らぬ　起きよ 天御中主　一一は二を生じ二 二二は三を生じ三 三は万物の生ず 三三で九九九で八十一 北より南に廻りて 前一騰蛇前二朱雀　前三六合前四勾陳　前五青竜　目下どの神にして東にあるもの 恨みはいずれ我が身に返る 御息所もうやめるのだ。 お前に何が分かる　もはやあの方に愛されぬこの身など どうなっても構わぬ　死して煉獄をさまよってもかまわぬ あの方は私の命　わたくしだけの命 それで終わりにしてくれる 葵　そなたの夫は果たして　どれほどの女を狂わせるのだ 何も言わぬのは貴方の優しいからですか？ もう何かもご存じなはずです 浅ましい鬼に成り果てた　私を　幾度衣を替えても　幾度髪を洗っても 取れぬのです 体中から漂うけしの匂い わたくしは我が身か恐ろしくてなりませぬ すべてわたくしが悪いのです あなたをそこまで追い詰めたのは、このわたくしなのです 我が身を失うほど深くわたくしを愛してくださった あなたを粗略に扱ったわたくしが悪いのです もうご自分を責めになりますな その言葉で都を離れる決心がつきました。何を言われるのですか？縁者を頼り　伊勢に下ることに致します。その地で心静かに余生を過ごすつもりです。わたくし一人捨ておかれるのですか？ここにいては　わたくしはまだあなたを苦しめるだけの女に成り下がってしまう。あなたはまた若い　共に生き　共に泣き笑う　お優しい方を見つけてくださいな。くれぐれも　わたくしのような情の強い女には気をつけるのですよ。 初めから　何もかも初めからやり直すのです。この先どれほどの月日が経とうとも。あなたほど深く　わたくしを愛してくれる人に出会えるはずもない。何度やり直しても同じこと　わたくしたちはまだ同じ過ちを繰り返すのです。わたくしは十分なのです。恋の喜びも悲しみも苦しみもすべてはあなたゆえでした。さよなら　あなた。