源氏物语.千年之谜-第8章

亦又太心:主上のおなり 我があばら家にようお越しくださいました どうぞごゆるりとお過ごしください 加減が悪く遅うなりました 料理も酒もどんどん持ってまいれ 東宮様が袴着をなされた一世一代の祝いの場に　出し惜しみは無用であるぞ はい　それ 楽はどうした　舞をお見せしろ それ 毒 凝り固まった思いが 毒となりあの者の体内を回っておる

亦又太心:婿殿 婿殿 お待ちを　葵に… これでわたくしたちも打ち解けた並の夫婦となりましょう お苦しいのですか わたくしはたまらなく嬉しいのです わたくしは母親の記憶がありません けれど、これから生まれてるはわたくしの子は母親である あなたの愛を存分に受けることができましょう わたくしはそれを見て　予約　寂しかった幼き日々より解き放たれるのです　葵？ これからはつらいことも悲しいことも恨み事も何でも仰ってください わたくしたちは世にも許された夫婦なのですから ええ　あなた 少しお痩せになりましたね けれど、その面やつれしたお顔がなお一層美しい あなたは他でもそのようなことをおっしゃるのですか もう恨みごとですか？ええそうです 安心してください わたくしはずっとそばにおります 恐ろしい女であるなあ　六条御息所とは 一人の女を殺めておいて　まだ気が済まぬのか 一体どこまで源氏を追い詰めのだ さあ、それはわたくしにもわかりませぬ わからぬ？すべてはそなたが決めることであろう 筆をとり紙に向かうまでは何も決まっておりませぬ 書きながら初めてこの者はこう動くのだとわかるのです そういうものか？そういうものです ほんに恐ろしい女であるなあ そなたは帝も彰子も宮中の者全ての心を掴んでしまったではないか その筆一つで彰子は皇子を産み　我の大願は果たされた ならば式部それでもまだ　そなたが物語を綴るのは何のためだ 無用な物語を何ゆえ書き続けるのだ まさかそれをお分かりにならぬ　あなた様ではありますまい 遂げられぬ思いが　わたくしに筆を持ったせるのでありましょう 東宮様じゃ東宮様じゃ　これはこれは東宮様　 そのお目に映るものはすべてあなた様のものですぞ 我は一生東宮様にお仕えする臣下である 行成殿　結局我はそなたがおらねば何もできぬ　よう帝を説き伏せてくれた 以前そなたには百年たってもかなわぬと申したが　いやいや、千年たってもかなわぬわ 道長様というお人はひとたび心に描いたことは必ずやり遂げるお方です 彰子様のお産みになった敦親王が東宮にお立ちになることは 道長様名を心の中で、既に決まったことなのです 仮にそれがを覆るようなことがあっても必ずや元の通りにしてしまう どんな手を使ってでも 私はそのことが恐ろしいのです